倫子先生のひとりごと

みんな、かなしい。だから|生きるかなしみを見つめて

生きることは、かなしい。
直接口には出さなくても、そう感じながら日々を生きている人は少なくないんじゃないかと、近頃の私は感じています。

生きていると、抗いようもなく悲しみがやってくる。
こちらの意図とは関係なく、突如、降りかかってくる。

そんな時、私はどうやってこの悲しみを乗り越えていけばいいんだろう
乗り越えることができないならば、せめてこの悲しみを抱えたまま生き続けるにはどうしたらいいんだろう

悲しみの真っ只中にいる時、頭の中は、いつもそのことでいっぱいです。

そんな時に、ひとつの言葉に出会いました。
その言葉は、悲しみと共にある人生そのものを肯定してくれているような、まさに一筋の光でした。

今、深い悲しみと共に生きている目の前のあなたを想像しながら、この先を書いていきたいと思います。

【目次】
1. 26歳の悲しみ
2. 全ては、「あのとき、悲しかったから」
3. 苦しい時に、何かを蓄える
4. 父もまた、苦しかったのだ
5. みんな、かなしい。だから、

26歳の悲しみ
私は、今、26歳。
たかだか26歳くらいで、何が生きる悲しみか、と突っ込まれそうな気配に、いつもならこの先を書くことをやめてしまうけれど、今日はそんな声はそっと横に置いておいて、思ったように書いてみたいと思います。悲しみというのはどこまでも主観であり、そしてまた、それでいいと思うのです。

全ては、「あのとき、悲しかったから」
フリースクールを立ち上げてから、色々な方からさまざまな質問をされるようになりました。その中でも、群を抜いて最もよくされる質問が

「どうして、フリースクールを立ち上げようと思ったんですか?」

という質問です。
私は、この質問をされるたびに、自分のこれまでの人生全体を無意識のうちに振り返るようになりました。

そんな中で、この「なぜ?」に一言で答えるなら、

人生があまりに悲しみの連続だったから

と答えるしかないような、いつもそんな感覚になります。

今までの人生に何があったのか、ここで詳細を述べてスッキリしたいのだけれど、誰のことも傷つけずに悲しみの出来事をここに書くということが、今の私にはできそうにありません。(いつか優しい文章で書けるようになりたいです。)
ここに書けないような、悲しみの出来事が26年間の中で本当にたくさんありました。そして、今も、あります。

そのたびに、枯れるまで泣き、自分の殻に閉じこもり、もうこのまま消えていなくなってしまいたいと幾度も思いました。

そんな時、この言葉に出会いました。

苦しい時に、何かを蓄える
この言葉は、父が私を含め3人の子どもたちへの遺言のつもりで自作した日めくりカレンダーの、ある日の言葉です。

私は、これまで苦しい時、悲しい時には自分の中から何か大切なものが一つずつ消えていっているような、何かが圧倒的に削られていくような、そんな虚しさの中で生きてきました。

でも、

「苦しい時に、何かを蓄える」

この言葉を初めて目にした時、それは違ったんだと心底から思いました。

むしろ、わたしたちは悲しい時こそ、そして苦しい時こそ、心の中に言葉にしようもない、尊い何かを確実に蓄えていっている。
前には進めていなくとも、下に深く深く大切な何かを張り巡らしていると気づいた時、トンカチで頭を殴られたような衝撃が走りました。

この悲しみは、私から何かを奪おうとしているのではない。
この悲しみからしか得られない何かが今、与えられているのだ。

そう思えた時、鉛のように重かった身体が、すっと軽くなる感覚を覚えました。

その時初めて、自分の身に起こる悲しみの出来事を落ち着いて、ただ受け止めることができたような気がして、私は静かに感動したのでした。

父もまた、苦しかったのだ
この言葉を通して、悲しみや苦しみへの向き合い方を知ったと同時に、こんな言葉を自分の子どもたちに残したいと思った父の心情を想像しました。

父もまた、苦しかったのだと、この時初めて思ったのでした。
それは、父を自分の親としてではなく、自分と切り離された一人の人間として見た、初めての瞬間でもありました。

みんな、かなしい。だから、
人は、表に出さないけれど、それぞれにその人なりの「地獄」を抱えながら生きている。
残念だけれど、人生のベースは喜びじゃなくて、悲しみだと私は思います。
悲しみがまず先にあって、その後に喜びがくるのが人生だと思います。だからこそ、喜びが喜びとして感じられるのではないかと思うのです。

だから、私はみんなと悲しみを共有しながら、互いを労わり合うようにして生きていきたい。
大変だったよね、ほんと辛いね、って声を掛け合いながら、なんとか今日という一日を共に生きていきたい。

そんなことを、ふと悲しみの最中にいるあなたに伝えたくなりました。
悲しくても、
いや、かなしいからこそ、私はあなたと一緒に、生きていきたいのです。

TOP